2020年7月23日(木・祝) 10:00-12:00
ZOOMによる開催
参加者 33名(理事10名、会員22名、トラブルシューティング1名)
今回の会員の集いは、前回に引き続き「共同体感覚」をめぐって皆さんで学びを深めることができました。
まず、常任理事の梶野真氏より「共感と共同体感覚~関心をもつということ」と題してお話しいただきました。梶野氏にはご自身が翻訳されたリチャード・ワッツの文献『ロジャースによる主要な条件とアドラーの共同体感覚との注目すべき類似点』を元にお話ししてくれました。さらに、「相手の関心に関心をもつ」ということと、昨今のコロナをめぐる身近な問題について梶野氏ご自身の考えを聞かせてもらいました。
次に参加者より質問やコメントが出されました。先の「相手の関心に関心をもつ」というアンスバッハ―の共同体感覚のとらえについて、梶野氏は「自分の関心よりも」というフレーズを付け加えて考えたいと述べていましたが「相手の関心に関心をもつこともまた、自分の関心」といったコメントもありました。また「相手の関心に関心をもつということと、相手に関心をもつということとはどのような違いがあるのだろう」という問いかけが司会者よりあり、さらに議論が深まりました。
学校関係者の参加も多く、昨今のコロナの状況により共同体感覚をはぐくむ場である学校がその機能を十分に果たせない状況にあるとの意見がありました。同じく小学校の教員である佐藤は「人と人との距離について改めて考え直す機会となっている」とピンチをチャンスととらえることもできるのではないかと発言しました。
梶野氏のお話を通して感じたことは、言わずもがなではありますが「アドラーがその後の心理学やカウンセリングに大きな影響をのこしたか」ということです。今回の話の中では、ロジャース、マズロー、ロロ・メイ、等が上がっていましたが、精神分析、トラウマのコフートやストロロウの理論さえ「そっくり」だと和田秀樹氏は指摘しています。アドラーの「貸し」はきっと返済を求めるものではないでしょうが、源流を知ることでそれらの心理学、カウンセリングの使い勝手は飛躍的に改善されるものと思われます。
さて、2回にわたり「共同体感覚」について議論してきましたが、共同体感覚はやはり、奥が深く、まだまだ議論は尽きません。きっと、議論しつくすことはないでしょうし、時代背景により共同体感覚のとらえ方も柔軟に変化していくことと思います。また、機会を見て「共同体感覚」について考えていきたいと思います。今回ご参加の皆様、ありがとうございました。「つどい」「研修会」「大会」の3本柱が整いつつあります。皆様とまた、それらの機会にお会いできることを楽しみにしております。