2019年10月20日 10:00-13:00
@駒澤大学深沢キャンパス
参加者14名(理事7名)
10月20日、駒澤大学深沢キャンパスにおいて、午後開催予定の理事会に先立ち「個人心理学会の集い」が開催されました。この「集い」は、学会員の交流や学びの機会をもちたいと計画されたものです。第1回は「本学会に期待すること」について、参加者の方々より自由に語っていただきました。
まだ、スタートして間もない学会ではありますが、すでに学会のカラーが醸成されつつあるようで、本学会の「居やすさ」を指摘する声を聴くことができました。さらに、横の関係でしなやかにつながっていく会長の提案する「リーグ構想」を深めていくことで、会員相互が仲良く研鑽を深める場にしていくことができるのではないかと感じました。
具体的な研究のテーマについても語られ、学会へのアカデミックな面での期待も大きいと感じました。また、研究・研修への高い志の一方で、学会のアカデミックなイメージによって敷居の高さを感じ、入会に二の足踏んでいる方も少なくないという指摘もありました。「高い志と広い裾野」という「二兎を追う」構造を本学会がもっていることに、改めて気づくことができました。
アドラー心理学の特性から考えると、家庭や地域、学校などでの「実践家」つまり子育て中の父母や地域におけるケースワーカー、学校の教員など、様々な方が集い学べる場こそ相応しい、ということは言うまでもありません。しかし、数多の心理学の中でアドラー心理学の地位を確固たるものにしていくことも、今後のアドラー心理学の発展のために欠かせません。
そのような中で「実践者と研究者をつなぐ」方法論について意見が出されました。例えば、実践者が研究のノウハウについて勉強する機会を設けたり、研究者が実践を研究に纏め上げたりすることで、裾野と頂をつなぐことができるのではないかと話し合われました。
また、裾野を広げるという目的のために何が必要かについても、話し合われ、例えば必ず大会では「入門」の分科会を設定し、敷居を低くしていくことが大事だという意見が出されました。入門から先の学びの連続性を担保するためにも、アドラー心理学を学ぶガイドラインのようなものがあるといい、という意見が出されました。
さて、学会の運営について、経営の視点から、以下の点について、ご質問、ご意見をいただきました。
①学会理念、つまり提供する価値が見えてこないが。
②年間の活動の計画が分からない。
③学会員数を今後増やしていくことを考えているのか。
④学会が認定する資格等をつくっていく予定はあるか。
①について
ほかの心理系の学会とそん色のないものにしていきたい。今までは心理学として認知されていない面もある、特に質の面で学術的なアドラー心理学の地位を高めていこうと考えている。現在学会誌の編集作業をしているが、審査や査読を通してしっかりしたものを出していく。時間はかかるが、アドラー心理学の地位を確固たるものにしていく上で重要であると思う。
理念、提供価値については、今後理事会で詰めていくことが大事だと思う。来年の大会では会長講演がある。そこで「リーグ構想」について話されるだろう。
②について
学会員向けには、研修会と大会を企画しており、それらは実施の方向で動いており、お知らせもHPから出している。それに加えて、年間7回ほど理事会を開いているが、その際、今日のような形で「集い」を企画していこうと考えている。追って、計画をお知らせしたい。
③について
学会員数は、昨日時点85名、正会員65名、準会員7名、賛助会員3団体ある。これから、200人、300人と会員数を増やしていき、いずれかは、全国で大会が開けるようになりたい。そのためにも、ご助言があったSNS等を活用して積極的に広めていきたい。
④について
いずれかは、学会として資格を認定していきたいと考えている。
アドラー心理学の研究や学び方などについてざっくばらんにたくさんの意見をいただきました。
〇「集い」があるのはありがたい。アドラー心理学を学ぶガイドラインのようなものがあるといいと思う。
〇アドラー心理学には「技法、理論、思想」がある。他の心理学と違って「思想」をきちんと提供し ているのがアドラー。現代において「共同体感覚」「勇気」について議論することで深まる。
〇現代の心理学、例えばメンタライゼーションなどにもアドラーのエッセンスが取り入れられている。アドラー心理学という軸で、もう一度見直していきたい。
〇学べるというメリットがあるといい。実践者の中にはわかった気になっちゃっている人もいる。学会に行けば学べるということが会員獲得につながっていく。
〇お金を払って教えてもらうという意識ではなく、学会に所属し対等に学び合うという意識が大事。日常の体験を研究として話せるように高めていけるのでは。
〇格安セミナーを行っている学会もある。本学会も会員数が増えればそのようなセミナーを開いて学会を盛り上げていくことができる。学会は営利というよりも普及を目的としている。
〇活動実績があれば人も集まってくるのでは。まだ実態が明確になっていないし、伝わっていない。
〇「集う会」はよい。理事会の開かれる前に行うという形ですればよいと思う。事例検討はよいと思う。
〇事例だけでなく、実践の発表でもよいと思う。「集う会」が研究の入り口になればいい。
〇若手としては、オープンSVなどがあるとありがたい。実践者が困っていることを語り、いろんな人からも意見をいただく、アドラーのスタイルで行いたい。
〇初心の人にはモデルは必要だが、学会なのだから「みんなで考えていく」というスタンスが良い。
〇アトラクションという意見があったが、学び方や学べるものも色々あるとよいと思う。いろいろなプランが用意されているような。
〇この場(集う会)があることでオープンに直接語れる。トップダウンでないところが良い。
〇アドラーは切り口が多い。そこがこの学会の良さ。何兎も追わなければならないが、医療関係の人が教育の発表を聞くとか。
〇民主的だ。フリートークはいい。
〇オープンダイアローグ的に、話せるっていうのはいい。
〇アドラーに触れると元気が出る。まとめるのは大変だが理事の人には頑張ってほしい。
〇この学会をあえて作る意味,何年か経って,作ってよかったと思えるように。一つの学問だけでなく,色んなニーズに沿って,いろんな遊び方ができるように。まだまだ鎖国状態な部分もあるから,もう少し外の視点から考えられた。課題はあるけど。
以上「第1回個人心理学会会員の集い」で出された意見の抜粋です。たくさんの意見が出されたのも、アドラー心理学を学び、研究する仲間であるという、対等な関係であったからだと思います。私は教員なので「まるでクラス会議のようだ」とも感じました。参加しているメンバー一人一人が、学会をみんなで創っていこうという、主体的で創造的な気持ちで集われていたからだと思います。ご都合により、参加がかなわなかった会員の皆様も、日々の臨床、研究、実践のブラッシュアップのためにも、次回ぜひ、ふるってご参加ください。お待ちしております。
(文責 佐藤 丈)
新しい学会への期待・希望を語り合いましょう!
新しいアドラー心理学の学会「日本個人心理学会」が動き始めました。 おかげさまで、次々と入会申し込み者がきており、7月現在で70名程の方にご入会いただいております。
今後、11月9日(土)に第1回研修会を東洋学園大学にて、来年3月7日(土)〜8日(日)に第1回学術大会を駒澤大学にて、当学会主催行事として開催される予定です。
これから、この個人心理学会が、アドラー心理学を志向するあるいは興味・関心がある多くの方々にとって、より良き健全な・民主的な研究・研鑽・交流・対話の場になっていくために、今後学会としてどんなことをしていけば良いのか? どのような企画・機会を作って行けば良いのか? などなど、上記の2つの学会主催の会以外に、しっかりと時間をとって会員の皆さんからご意見をうかがう機会を作りたいという声が、現在の理事の中から出てきました。
そこで、急遽、個人心理学会の事務局の主催で「個人心理学会 会員の集い」を企画させていただくことにしました。 以下の日時・場所でさっそく開催したいと思います。この集いには個人心理学会の会員であれば、どなたでも参加できます。もちろん個人心理学会の理事が複数名出席する予定です。
この集いが「個人心理学会の未来・これから」について、忌憚ないご意見を自由に語り合う機会になればと思っております。 参加希望の方は、事前に事務局メールへ、お名前をお知らせください。 多くの方のご参加をお待ちしております。
●日 時 : 2019年10月20日(日)10時〜13時
●場 所 : 駒澤大学深沢キャンパス講義室1-2
●参加資格: 日本個人心理学会 会員
●参加費 : 無料